第12回旅行は、仏教寺院が並ぶアジャンタ石窟群
アウランガバード(Aurangabad)から車で移動すること1~2時間、アジャンタ(Ajanta)に到着。
様々な環境がアジャンタを生んだ 川がUの字状に曲がった場所の崖に整然と並ぶ、29の石窟。 紀元前2世紀頃から紀元後600頃にかけて彫られたこの世界遺産に指定された仏教石窟は、いろいろな要素が絡んで生まれた。 まず、この辺りの地域が玄武岩で出来ており、彫るに易く、風化しにくかったこと。 次に、時の王が仏教の保護に非常に力を入れており、仏教建設物の建築に寛容だったこと。 また、強力なパトロンもいた。当時、ローマなどとの貿易が活発化しており、これらに携わる商人たちの多くは仏教(小乗仏教)を信仰していた。彼らは、自らの支出で石窟を掘らせ、その石窟を寄進したという。 最後に、19世紀になるまで、人目に晒されなかったこと。ここは、森に囲まれていて、周囲に大きな都市も無いので、1819年に狩猟に出たイギリス人が偶然発見するまで、全くその存在を確認されていなかったそうだ。 我々も、そのイギリス人が石窟を発見した場所(Viewpoint)から川に向かって下っていき、周りの景色を楽しみながら、石窟にアプローチしていった(徒歩約1.5時間)。 ブッダ ブッダ ブッダ ・・・ 東端から順に1、2、3と石窟に番号が付されており(一部順番通りぢゃないものもあるが)、第1窟の東側に昔の切符売場がある。現在の売場は、そこから崖を数百m下った場所に移されている。 全部で29窟あるのだが、見所のある石窟をダイジェストで紹介する。 第1窟 紀元後500年頃の建設と言われる。 全ての石窟は、僧院(ヴィハーラ)と塔院(チャイティヤ)とに大別され、前者は僧や礼拝者の休息所などに使用され、後者は礼拝所・儀式用の会場として機能したと言われている。 この第1窟は僧院で、中央のリビングルームのような空間を周囲の寝室が囲む設計。最奥部にはブッダ坐像が安置されている。 第2窟 第1窟と同時期のもの。 僧院タイプ。ブッダ誕生に関する話が壁面に描かれている。 第4窟 僧院タイプで、石窟群最大の大きさ。最奥部のブッダ像のある祀堂入口の左右には、立像が彫られている。天井を見ると、溶岩の流れをそのまま映した玄武岩を見ることが出来、この石窟が未完成だったことが伺える。 第9窟 塔院(チャイティヤ)タイプで、屋内際奥部には仏塔(ストゥーパ)が設置されており、礼拝堂として機能していたとのこと。壁面・柱面には僧の絵が描かれている。 第10窟 石窟群の中で、最も古いものとされ、紀元前2世紀に作られた塔院。第9窟と同様、最奥部に仏塔があるが、第10窟のものの方が大きい。紀元前はまだ大乗仏教が興る前で、この石窟は小乗仏教期に建てられた為、ブッダの姿は直接描かれていない(小乗仏教では、偶像崇拝等が禁止され、その為ブッダを像や絵にして崇めることは無かった)。菩提樹や法輪の姿をブッダと見做して崇拝していたようだ。 第16窟 僧院タイプ。 うまく写真に収められなかったのだが、第17窟と並んで最も壁画が見事な石窟と言われる。 ここで描かれているのは1人の女王で、絵画は「末期の女王」や「死せる王女」などと言われている。ブッダの異母弟ナンダが出家を決意した際、それを聞いたナンダの妻が卒倒するシーンを描写している。 第17窟 この石窟の壁画の保存状態が石窟群中最も良いと言われ、顔料に色などもはっきり識別箇所が数多くあった。 また、ブッダの行動を描いた壁画も綺麗に確認することが出来(上の画像)、シンハラという名の王子の冒険を描いた壁画では、王子の首飾りが今でも金色に光っている(下の画像)。 第19窟 塔院タイプだが、第9~10窟と明らかに異なるのは、ブッダ像がふんだんに登場することだ。これにより、これが大乗仏教期に建てられたものだと分かる。建物入口のブッダの彫刻も綺麗。また最奥部の仏塔への採光のため、建物入口に馬蹄形の窓が施されているのも特徴の一つ。 第26窟 塔院タイプ。ここでは、入滅する(要は死ぬこと)ブッダ涅槃(ねはん)像が左側に彫られている。横たわるブッダの下には、第1弟子アーナンダー(手塚治虫『ブッダ』にも出てくるね)はじめ多くの弟子が悲しんでいる様子が彫られている。 最奥部には仏塔が設置されている。 ・・・以上が、アジャンタ石窟群のダイジェスト。 非常に充実していたが、全て仏教石窟なので、少々「ブッダ疲れ」した・・・。 オススメ度(100%個人主観) ★★★☆☆
by bharat
| 2005-09-30 00:58
| インドぶらり旅
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2年間のインド生活で、どこまでインド人に近づけるか!?
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