第15回旅行は、仏教の聖地サールナート
 ヴァラナシに行った際、ちょっと足を伸ばして仏教跡の残るサールナート(Sarnath)にも行ってきた。
 1日間という短い滞在時間だったが、町全体は静かでこじんまりとしており、十分に堪能できた。

ブッダが初めて説法を行った場所サールナート
 ヒンドゥー教の聖地ヴァラナシから北東に僅か9km、同地の喧騒を忘れさせる静かな街サールナートがある。
 ここは、ブッダがボードガヤー(Bothgaya)で悟りを開いたあと、初めて説教(初転法輪)を行った場所とされている。仏教8大霊場の1つに数えられ、今でも多くの仏教僧が訪れる。第15回旅行は、仏教の聖地サールナート_e0074199_18243332.jpg
 漢字に訳された際「鹿野苑」とされたのは、この周りに鹿がたくさんいたからだとされており、またサールナートという地名自体も「鹿の主」を意味する「サーランガ・ナータ」が訛ったものなんだという。


ムルガンダ・クティ・ヴィハール
 街の中心を成す公園の東側に、大きな僧院を発見。第15回旅行は、仏教の聖地サールナート_e0074199_1813468.jpg第15回旅行は、仏教の聖地サールナート_e0074199_18124635.jpg
 その周りには4つの石碑があり、ブッダの言葉が刻まれていた。
 丁寧にも、ヒンディー語・英語・チベット語・日本語で併記されていた。

 そのすぐ近くには、有力資本家が寄贈した仏殿があり、中には仏像が安置されていた。第15回旅行は、仏教の聖地サールナート_e0074199_1816844.jpg


ダーメーク・ストゥーパ
 街の中心を成す公園に入る。
 入場料は、外国人100ルピー(約250円)・インド人5ルピー(約13円)。入口で、

   「ユー・インディアン?」

と聞かれたので、

     「イエス!」

と言って、5ルピーで入場・・・どう見てもインド人に見えないと思うんだが・・・。

 
 中に入っていきなり目に付くのは、巨大な仏塔(ストゥーパ)。第15回旅行は、仏教の聖地サールナート_e0074199_18191013.jpg第15回旅行は、仏教の聖地サールナート_e0074199_18184967.jpg
 ダーメーク・ストゥーパといい、ブッダが初転法輪を行った場所に建てられたとか、ブッダの遺物を祀ったとか、様々な説明がされている。いずれにしても、仏教徒にとっては大変由緒正しい・神聖な場所の一つとなっている。
 高さは34mもあり、周囲には色々な彫刻・経文が彫られている。


パンチャイタン寺
 公園の中に、ひっそりと残っている寺院跡。第15回旅行は、仏教の聖地サールナート_e0074199_18232649.jpg
 寺院といっても、石で出来た粗末な小屋といった感じ。


アショーカの遺跡
 公園内には、敬虔な仏教徒だったアショーカ王が建てた建築物群の跡が雑然と残っている。第15回旅行は、仏教の聖地サールナート_e0074199_1826129.jpg第15回旅行は、仏教の聖地サールナート_e0074199_1825524.jpg
 殆どは、腰の高さほどしか残っていないが、その規模を知ることは出来る。
 また、鉄柵に囲まれた小さな柱のカケラは、かつて20mほどあった柱の基礎が保存されている。


その他の見所・・・
 公園の敷地内にはジャイナ教寺院が、公園と道を挟んだ南側には博物館がある。

ジャイナ教寺院
第15回旅行は、仏教の聖地サールナート_e0074199_18332911.jpg第15回旅行は、仏教の聖地サールナート_e0074199_18331069.jpg 旅のガイドブックにも名称は書かれておらず、寺の御坊さんに聞いても、

   「ジャイナ教寺院です。」

と答えただけだった。

 本堂奥の坐像は、ブッダそっくり。
 堂内の壁は鮮やかで、色々な絵画がかけてあった。


博物館
 立派な外見に、粗末な陳列物・・・。
 入口のアショーカの柱頭こそ立派だったが、他は彫刻が時代・内容バラバラに並べてあるのみと言った感じ。
 まぁ、入場料2ルピー(約5円)だったんで、仕方無いかな・・・

御坊さんとの話・・・
第15回旅行は、仏教の聖地サールナート_e0074199_18371163.jpg ダーメーク・ストゥーパの傍の菩提樹の木陰に1人の御坊さんが。
 何してるのかなぁと思って眺めていたら、向こうも私に気づいたらしく、私の髪型(坊主頭)を見てニコニコ笑い掛けてきた。
 片言のヒンディー語で話し掛けてみた。


  僕 「何してるんですか?」

    坊 「仏塔を見ながら、仕事をしてたんですよ。」

  僕 「仕事って?」

    坊 「学校の会計の確認です。」

  僕 「学校を経営してるんですか?」

    坊 「最近、友人と一緒に、村の孤児達のために
       仏教系の学校を作ったんです。」

と、学校の敷地図やら敷地購買費・校舎建設費内訳やらを見せてくれた。

第15回旅行は、仏教の聖地サールナート_e0074199_1914552.jpg 学校の場所は、サールナートと同じく仏教の聖地とされている、クシーナガル(Kshinagar)というところから数十km離れた村。御坊さんの生まれ故郷なんだと。
 因みに、御坊さんの名前は、アーナンダー。ブッダの一番弟子と同じ名前だ。

 この御坊さんがもともと仏教徒だったのか、ヒンドゥー教から改宗したのかは知らないが、仏教はとても平和的で良い宗教だと私に語った。
 私の読んだ旅行のガイドブックでは、インドでの仏教徒の人数は約700万人と全人口の1%にも満たないが、本当はもっと多いんじゃ無いのかな・・・。
 ・・・この辺のインドにおける仏教の動きについては、アンベードカル(20世紀のカースト反対を唱えた社会活動家、のちヒンドゥー教から仏教に改宗した。)や佐々井秀嶺(在印の日本人僧で、インドでの仏教普及活動を行っている。)の活動をよく調べてから違う機会に書こうかな。



オススメ度(100%個人主観)

    ★★★★☆
by bharat | 2005-10-04 16:00 | インドぶらり旅