デリー1 フマユーン廟
 インドに来て4ヶ月弱、旅行に明け暮れる余り、デリー市内の名所を回っていたなかったなと思い、平日の空いた時間にフマユーン廟(Humayun's Tomb)に行ってきた。
 アーメダバード(Ahmedabad)アジャンタ(Ajanta)エローラ(Ellora)への旅行を引率してくれた先生が、今回のフマユーン廟見学でも、詳細な説明を交えて同所を案内してくれた。


フマユーン廟

概要
e0074199_21132993.jpg ムガル帝国第2代皇帝フマユーンの墓。
 16世紀に建設された建物で、タージ・マハルなどのムガル建築物の御手本となった建物の一つだ。
 このデリーにあるフマユーン廟と、マッディヤ・プラデーシュ(Madhya Pradesh)州のマーンドゥー(Mandu)にあるホーシャング廟(Hoshang's Tomb)が、タージ・マハルの設計の素になったと言われ、中央のドーム状の屋根を持つ建物や、庭園を4x4の正方形に区画する手法など、様々な類似点が見られる。


西部勢力の影響
e0074199_21165391.jpg 入場料(現地人10ルピー:約25円、ガイジン250ルピー:約650円)を払って中に入ると、正面後方に本堂の屋根が見える。
 右側には、見慣れない形(イスラム建築の門は通常側面はまっすぐ上に伸び、頭頂部にかけてカーブして、頂点で角度のある交わりがもっているが、この門はローマ系ビザンチン帝国の様式を採用しており、段々の形をしている)の門があり・・・
e0074199_21183718.jpg くぐった先には、円形(正確には正多角形)の建築物がある。
e0074199_2121045.jpg この建築物はじめムガル帝国時の建築物に特徴的なのは、イスラム系建築(ムガルはコテコテのイスラムですから)とヒンドゥー教寺院の流れを汲む建築がミックスされている点。
 例えば、壁面から天井にかけてスーっとすぼんでいくイスラムテイストに、ピラー(軒下のでっぱりのこと、装飾が施されていることが殆どで、ヒンドゥー寺院の多くはこれが付いている)があったりする。
e0074199_21221495.jpg また、内側の壁面には、蓮の花の装飾が施されており、これはヒンドゥー教の流れを汲むモチーフだ。
e0074199_21233655.jpg また、同じく内側壁面の柱部にあるポット状のデザインも、ヒンディー建築の派生ではないかと言われている(むかしむかし、ヒンドゥー教徒の家では、娘が結婚すると家の柱や隅に水瓶を置いてそれを周囲に知らせた。
 その後、ヒンディー建築物の柱部に水瓶のデザインを模したものが出始めた)。
e0074199_2124171.jpg 因みに、建物内部にはいくつかの棺が納められており(フマユーン帝のものではない)、フタの形で男性・女性を区別することが出来る。フタにデッパリの付いているものが男性、付いていないのが女性のもの。


とことんシンメトリー


e0074199_21253694.jpg イスラム建築で、最も顕著な特徴の一つが、対称性を追求していることだ。
 外部の門をくぐると、廟を囲む内壁が見えるのだが、門の中心が一直線上にあるのがよく分かる。
e0074199_21262564.jpg で、またその内壁をくぐると真正面に廟が見えてくる。因みにここまでの作りは、タージ・マハルもま~ったく一緒。違うのは、タージ・マハルが殆ど白色大理石で出来ているのに対して、フマユーン廟が赤色砂岩・白色砂岩・黄色大理石で出来ている点。
e0074199_21265541.jpg 廟の中央には、棺が。
 これが中央に配置されている証拠に、棺から一番外の門まで一直線に見ることが出来る。
e0074199_21271835.jpg また、廟を斜め45度から見ると、見事に左右対称・・・ここまで拘るとはスゴイな。
 設計図を見てみたいもんだ。
 余談だが、当時の設計者たちはこの廟を建築した後、腕を切断されたり処刑されたりしたそうだ。その者達の墓もちゃんとある。タージ・マハル設計の際も同様の措置が採られたそうだ。


インド人の美術センスへの影響!?

 こういった世界遺産やそれに準ずるインドの建築物の多くは、ムガル帝国が持ち込んだイスラム建築とヒンディー建築のミックス系になっていて、特にクドいくらいの対称性追求は圧巻というほか無い。
 このあたりの影響が今でもインド人の中に染み付いているのかいないのか、インド人の美的センスはこの対象性を追求しているものが多い。
 インド人の子供に、食事用に大きなお盆を1つ、同じ大きさの2つの小さな椀を与えると、殆どの子供がお盆を中央に置き、左右それぞれに椀を1つずつ置くのだそうだ。
 また、インド人に生け花を教えている先生の話では、インド人に「まずは好きなように花を生けてみなさい」と言うと、殆どが左右対称に花をアレンジするのだという。
 そぉいえば、僕が部屋の掃除を御願いしているメイドさんも、ソファの上に置いてある2つのクッションを必ず右端に1個、左端に1個というように置き直していた。

 ここの国では、非対称性の美は理解されにくいものなのか・・・?


オススメ度(100%個人主観)

    ★★★☆☆
by bharat | 2005-10-20 10:30 | デリー市内あれこれ