宮殿列車の旅 ~ラージャスターン州周遊~

 Lonely Planetのガイドブックにも記載があるが、インド国内の鉄道の旅で最も充実しているものの1つに、「Palace on Wheels」というのがある。
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e0074199_1552341.jpg 文字通り、宮殿のように豪華に内装を施した専用列車に揺られながら、マハラジャの地ラージャスターンを周遊するといういう企画旅行だ。
 7泊8日という拘束時間の長さ、およびその金額の高さ(1人約2700USドル)から、なかなか行く人もいないんぢゃないかなと思うが、さにあらず。
 毎年9月~翌年4月まで運行する同列車は、今年度は翌年3月まで予約満席の状態。

 インドで長期旅行が出来る今が好機と思い、同旅行に参加してきた。

 各周遊先については、第19回旅行記から詳細書いていこうと思うが、まずはこの企画旅行の性質について少し書いておこうと思う。


歴史

e0074199_1562386.jpg 現在、ラージャスターン観光協会(RTDC:Rajasthan Tourism Development Corporation)とインド国鉄(IR:Indian Railway)との素晴らしい共同企画として世界中でPRされているこの宮殿列車の旅だが、初めから順風満帆だった訳では無かったようだ。
 1980年代初めに、ラージャスターン州の一青年によって企画されたこのプロジェクトは、当初RTDCやIRからボロンケチョンにその実現困難性を指摘されたという。何とか車体をカスタマイズして、1982年から企画は開始されるが、知名度不足が祟って毎回大赤字の状態。確かに、1便ごとに何百という関係者(乗組員・各周遊地専用スタッフなど)の人件費、燃料費・光熱費、食費などが飛んでいく訳だから、かなりの実車率でないと元が取れない筈だ。
 加えて、企画側ではどうしようもない事情も多々発生。
 1点目は、ラージャスターンが慢性的に水が不足する地域なので、周遊先の名所が旱魃で無残な姿になっていたことが良くあったという。評判の低下を防止するのに苦労したという。
 2点目は、企画開始当初のダイヤ事情。今も日本と比べればまだまだだが、当時、インド国内鉄道のダイヤ順守状況は最悪で、長距離移動を繰り返すこの企画の列車が他の列車の通過待ちなどで思わぬ足止めを食うこともしばしばで、円滑な日程順守は非常に困難な状況だった。
 3点目。当時の鉄道のゲージ(線路幅)は4種類もあり、この宮殿列車の通るルートにはこの4種類全てのゲージがゴチャ混ぜになっていた。全行程を通して専用列車で移動するのがウリのこの企画にとってはこれは致命的だったようで、全行程を単一のゲージに揃える為に、IRとの粘り強い交渉が続いたという。
 4点目。一時的なものだったが、インディラ・ガンジーが暗殺された1984年前後は、北インドの治安が不安定になり、この企画に参加する希望者が激減した。中には、列車乗組員60~80名に対し、ツアー参加者2名という大赤字便もあったという。

 1990年代以降は、RTDCやIRも積極的にこの企画の振興に取組むようになり、現在では、欧米各国に出先旅行代理店を構え、多くの欧米中間富裕層を毎年呼込んでいる。

行程

 7泊8日でラージャスターンの主要観光名所およびアグラを周遊するのだが、合計走行距離は数千kmにも及ぶ。効率良く移動する為、宿泊はもっぱら列車の中。我々が寝ている間、列車は次の目的地へとひた走る。
 行程概要は、周遊順に以下の通り。
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 第1日
 1600 デリー・カントンメント駅(デリー南部)にてチェックイン
 1830 列車出発
 1915 列車内にて夕食

 第2日
 0300 ジャイプール
 0800 列車内にて朝食
 0830 ジャイプール観光
 1300 同市内のホテルにて昼食
 1830 ジャイプール観光後、列車に戻る
 1930 列車出発、列車内にて夕食

 第3日
 0800 列車内にて朝食
 0930 ジャイサルメール
 1300 列車に戻り昼食、休息
 1600 サム砂丘をラクダで歩く、休息所で軽食、日の入り鑑賞
 1930 ホテルにて夕食
 2330 列車に戻る、列車出発

 第4日
 0700 ジョードプル
 0800 列車内にて朝食
 0900 ジョードプル観光
 1300 同市内のホテルにて昼食
 1445 ジョードプル観光後、列車に戻る
 1530 列車出発
 1915 列車内にて夕食

 第5日
 0400 サワイ・マドプール着
 0600 ランタンボール国立公園を観光
 1130 列車に戻り朝食、列車出発
 1300 列車内にて昼食
 1600 チットールガル着、同地観光
 1900 列車に戻る
 1915 列車内にて夕食

 第6日
 0530 列車出発
 0800 着
 0900 ウダイプール観光
 1300 同市内のホテルにて昼食
 1700 列車に戻る
 1730 列車出発
 1915 列車内にて夕食

 第7日
 0630 バーラトプル着
 0700 列車内にて朝食
 0800 ケオラデオ・ガナ野鳥公園を観光
 0900 バスにて移動
 1100 ファティープル・シークリ着、同地観光
 1300 アグラ着、同市内ホテルにて昼食
 1430 同地観光
 1900 列車に戻る
 1915 列車内にて夕食
 2100 列車出発

 第8日
 0400 デリー・カントンメント駅着
 0700 列車内にて朝食
 0800 チェックアウト、解散

サービス・設備など

 気になる「宮殿」ぶりだが、やはりなかなかのもの。

e0074199_16542261.jpg デリー・カントンメント駅の一角に、専用の待合室が設けられ、ラージャスターン州の民族衣装を着た人が民族楽器の演奏をしている。
e0074199_1792796.jpge0074199_179976.jpg 編成は、ディーゼル機関1両、客車16両、食堂車2両、バー(飲酒)車1両、スタッフおよび貨物車2~3両。客車には、ジャイサルメールウダイプールなど、ラージャスターンの主要都市の名が付けられている。
 僕が乗った車両名は、ブンディ。
e0074199_17111371.jpge0074199_1710213.jpg ブンディは、ジャイプールの南約200kmに位置する、中世期に藩王国の首都として栄えた街だ。
 各車両は、小さな応接間(朝食はここで食べる)と3つの客室から成り、2人の専用乗務員が諸々の対応をしてくれる。
e0074199_17553475.jpge0074199_1756587.jpg 客室は少々手狭だが、寝たり読書したりするには十分の大きさ。フロ・トイレ、洗面は部屋ごとに付いていて、とても清潔。
 フロについては、ちゃんとお湯も出る。


その他の企画列車旅行

 この宮殿列車「Palace on Wheels」のほか、インドにはいくつかの企画列車旅行がある。

 Fairy Queen Train
e0074199_18415744.jpg 富士通提供の3分TV番組「世界の車窓から」でも出てきたので、知ってる人いるかも。
 1855年に東インド鉄道によって敷設された北インドの鉄道網を走る蒸気機関車として登場したFairy Queen号。現在走っている機関は、なんと1908年製でもうじき100歳になる。スピードは40~50kmそこそこしか出ないが、デリー・カントンメント駅~アルワール(ラージャスターン州)駅を1泊2日で往復する。金額は、7000ルピー(約18000円)。


 Deccan Odyssey
e0074199_18422092.jpg こちらは、ムンバイ版「Palace on Wheels」といったところで、7泊8日の行程で中央インドを周遊する。
 ムンバイのあるマハラシュトラ州の主要観光スポットなどを回るのだが、ムンバイ・ゴア・プネーなどの近代リゾート都市にも行くし、アウランガバードアジャンタエローラなどの史跡にも行く、盛り沢山な内容だ。価格は、「Palace on Wheels」とほぼ同額。


 The Royal Orient
e0074199_18425811.jpg 「Palace on Wheels」同様、7泊8日の行程だが、これはラージャスターン州とその南西のグジャラート州も回ってしまう、駆け足ツアーだ。
 ウダイプールチットールガルを回ったあと、グジャラート州に入り、アーメダバードやパリタナ(ジャイナ教の聖地)を周遊。最後にまたラージャスターン州ジャイプールによってからデリーに帰るという強行日程だ。価格は、「Palace on Wheels」とほぼ同額。
by bharat | 2005-11-11 00:38 | インドぶらり旅