インドのテニス熱 1
 僕は、スポーツをするのも観るのもとても好きだが(特にテニスはプレイするのも観戦するのも大っ好きである)、インドに来て思うこと・・・それはインド人の多くが運動嫌い・もしくは運動オンチだということだ。

少ない国技・偏った教育

 国技の定義は難しいが、取敢えず「その国を代表する運動競技」ということが出来ると思う。その数はアメリカがズバ抜けて多い(野球・バスケ・アメフト・アイスホッケーなど)と思うが、日本だってかなりある。相撲、柔道、剣道、空手はもとより、今では野球・サッカー・テニス・ラグビーだって国技と呼んでも良いと思う。
 ところが、インドには驚くほどスポーツのバラエティが無い。
 いの一番に来るのがクリケット。野球の原型になったというこのスポーツは、見ていてもまぁ面白いのだが、とにかく試合時間が長い。長い試合になると、数日かかる。道理で野球が発案された訳だ。
 で、次に来るのは・・・・ホッケー、カバディ、テニスなど。以上。実に寂しい。ガッチリした体格に、激しい競争心、おまけに東西様々な文化が流入してくる特性などを考えれば、もっと色んなスポーツが盛んになっていてもおかしくないのに・・・。学校でも体育の授業は殆どの場合、任意科目もしくは実施されないという。


突如吹いたテニス熱

e0074199_351642.jpg そんな中、最近インドスポーツ界を賑わしている女性選手がいる。
 サニア・ミルザという新鋭の女子テニス選手だ。現在18歳(19歳になったのかな)のミルザは、現在のWTAランキングこそ30位代だが、来年早々にはトップ10入りするとの声もある。キレイな容姿と、非常に攻撃的なプレイスタイルが、多くのインド人を惹きつけ、今やインドでの人気はかなりのもの。ガソリンや食品などのテレビCMに出まくっている。

 このミルザ、インドの大多数を占めるヒンドゥー教徒ではなく、イスラム教徒である。その関係で、なかなか興味深い出来事が彼女の周りで起こっている。当のイスラム教徒は、彼女の服装について、「非常に破廉恥」だとして憤慨しているとか。顔意外を黒い布で覆ってプレイしろとか、そもそも外出して公衆の前に出るべきではないとかボロクソに言われている。一方、インド国民の大多数を占めるヒンドゥー教徒などからは、宗教の相違もなんのその、大人気を博している。教義が厳しいのも考え物だが、時代に合わせて柔軟に出来ないものだろうか・・・。いずれにせよ、ミルザは、テニスの上位選手とイスラム教義の双方と戦いながら、プレイしているのだ。


アジア・オセアニアのレベルアップ

 ミルザの活躍、および経済界全体のインドへの注目もあってか、最近インドのテニス界が盛り上がり始めている。
 今までは、インドといえば、1月に行われるチェンナイ・オープンくらいが目玉で、あとはパッとしなかったのだが、最近はジュニアの大会の誘致などにも積極的だ。
 もともと、アジアはテニスの大会や選手育成などについて層が薄い。特に近年、ATP(男子プロ)とWTA(女子プロ)の規定が変更され、選手は多くの大会に出場しないと上位に上がりにくいようになってしまった。その結果、地続きで回りやすい欧州や大会の多いアメリカなど、特定の地域に拠点を置いてその周りを効率良く転戦する選手が殆どになった。アジアはよっぽどの獲得賞金・ランキングポイントの掛かった大会でない限り、上位選手が寄ってくれなくなってしまった。こうなると悪循環で、人気の上位選手の来ない大会に観客が集まる筈も無く、スポンサーも金を出さなくなる。現在の日本なども惨憺たる状況だ。80年代、セイコースーパーテニスにはレンドル、エドバーグ、アガシ、松岡が出ていたし(90年代に閉会した)、東レパンパシフィックテニスにも伊達はじめトップ10の女子選手がズラッと来日した時代があった(今はトップ20から数人来るくらい)。だから、現在、アジアから輩出される上位選手は男女問わず大変貴重で、彼らを軸としてその下のジュニア選手を盛り上げていく仕組み作りがとても大事だ。
 今年、オーストラリアが牽引役となって(アジア・オセアニアの枠では、オーストラリアの地力が突出している。世界4大大会の1つ全豪オープンが毎年1月にメルボルンで開催され、ラフター、ヒューイットなど上位選手を時代時代で輩出している)、アジア・オセアニア全体規模でのジュニア大会を数多く開催しようと動きが始まった。その1つが、先月11月にここデリーで開催された、Under14アジア選手権大会だ。大会1週間に先立ち、全豪オープンWork Shopも1週間開催され、合計2週間の大イベントだった。
 日本からも、男女ジュニアプロが来日。何かの縁で、彼らと知り合う機会を得ることが出来た。彼らとの交流については、後ほど「インドのテニス熱2」で書こうと思う。
by bharat | 2005-12-12 10:19 | ふと思うこと