デリー5 シャールク・カーンをこの目で見たい!
 12月24日クリスマスイブ、デリーに最初で最後とも言われる、一大イベントが開催された。
 その名は、「Temptation 2005」・・・いろんな意味で凄かった。

企画の内容に膨らむ期待!
e0074199_15344375.jpg
 今年の暮れから、ちょくちょく新聞紙の広告が出ていたらしく、これはその中の1つ。ボリウッド映画界のトップスターたちが、一同に会し、一大コンサートをやるという趣向。主催者は新聞紙「TIMES OF INDIA」、全国障害者雇用促進センター(NCPEDP)もスポンサリング。シャールク・カーン、ラニ・ムカルジーらを筆頭にそうそうたるメンバーが出るということで、naomiさんとその御友達と一緒に行くことにした。
 因みに、チケット料金は、S席5,000ルピー(約12,500円)、A席2,000ルピー(約5,000円)、B席1,000ルピー(約2,500円)。で、迷わずS席を購入。


 僕は、そんなにボリウッド映画に詳しい訳ではないのだが、それでも広告に踊っている名前は分かった・・・否が応にも期待が膨らんだ。
 紅白歌合戦やレコード大賞のような雰囲気か、はたまた日本でやるコンサートのように弾けるのか!


こ、これはあまりにもヒドい・・・

 当日のコンサート開始時間は、「1:00 PM sharp」と書かれていたので、何時に会場入りしたらよいか迷った。座席指定ではないので、早めに行って並ぼうと思い、11時30分ごろ会場入り・・・これでも日本のコンサートの感覚からすると遅いけど。


11:30
 焦りつつ、車が駐車場へ入っていくが・・・ガラガラ・・・あれ?
 今回のコンサートでは、S席購入者にしか駐車場使用権が無いので、それで駐車場が透いてるんだな、と思い、いざ会場へ・・・。
 厳重なセキュリティチェックを経て(大き目のバッグはNG、カメラは勿論、携帯電話もNG、なんとサイフもNG)、会場内に進む。

12:30
 ガラ~ン。何人来るのか分からないが、500~1,000人程度しかいない・・・。
 開始まで30分でこの状況か・・・恐るべし。
 おまけに、舞台上では音響・照明・スクリーンの最終リハをやっている始末。
 とても不安になる・・・。

13:00
 開始時間の13時00分になっても、客は半分以下の入り、舞台ではリハが続く・・・。
 まさかとは思ったが、sharpには始まらないようだ・・・。

13:15
 客の方は、だいぶ入ってきた(って既に定時をまわっているが)。
 されど、舞台に動きなし。

13:30
 入場者は、およそ5,000人くらいにはなった。
 依然、舞台に動きなし。
 スクリーンにたまに映るシャールク・カーンの姿にA席あたりから黄色い声援が飛ぶ。

13:45
 入場者は、およそ7~8,000人くらいにはなったろうか・・・。
 依然、舞台に動きなし。
 観客も、声を出すのに疲れだし、ただのザワつきだけが会場を包みだす・・。

14:00
 ようやく、そして唐突にスタート!!

 ボリウッドスターたちが、変わる変わる音楽にあわせてダンスを披露していく。
 テンポの悪い選曲ばかりで、イマイチ乗れないのだが、周りのインド人は座席に座ったまま、演歌風の手拍子をシャンシャンと送り始める・・・。みんな、コンサートの見方知らないのかな・・・立って体を動かしながら見ないのかなぁ。

e0074199_321472.jpg

 そのうち、主役格のシャールク・カーンが登場。演歌歌手ばりの衣装に振付けで、威風堂々(?)と1曲披露。
 彼の登場で、会場は大混乱に・・・イスに立ってキャーキャー騒ぐ若者と、それを必死に座らせようとする年輩者で、観客席は微妙な空気に・・・。

 その後、シャールク・カーンは、本コンサートの司会もこなすという体で、進行していく。これがまた、非常にトロい・・・観客の1人をステージに呼んでは、内容の無い会話・心のこもってない賛辞を送り、一緒に1フレーズくらい踊って、直筆サインボードを持たせて退散させる。これを2~3曲終わるごとにやり続ける・・・いい加減にしてくれと思った。
 また、途中、ダンスではなく、歌手による純粋な歌の披露もあった。一部声援を集めた歌手もいたが、大半に関しては観客ウケが悪く、シャールク・カーンが舞台上に居るときとは打って変わって、シ~~ンと静まり返る。ゲンキンな観客と企画者のアレンジミスで会場は得も言われぬ雰囲気に包まれていく。

17:00
 もういい加減終わらないかなと思っていたら、ダンスミュージックに合せて出演者全員がアフロのズラをかぶって登場。何の変哲も無いバスケットボールとブサイクなクマのヌイグルミを観客席に投げ入れて、終演・・・。

 心神耗弱状態で会場を後にした・・・。
 サバサバした表情で帰路に着くインド人たちがとても印象的だった・・・。


エンターテイメント途上国
e0074199_3354271.jpg
 翌日の新聞をチェックしようと思い、いろいろ見たが、関連記事が掲載されていたのは、TIMES OF INDIAのみ。同紙は、本コンサートのメインスポンサーだから当然か・・・。案の定、紙面には美辞麗句のオンパレード。誇大表現は言うに及ばず、あることないこと書き並べていた。

 今回の総括、というか問題点。

1.一大イベントにしては、事前PRやチケット販売体制があまりに未整備
 今回のイベントに関する事前広告は、専ら上記新聞の広告。存在自体知らなかった人もたくさんいた筈。もっと事前広報を集中的にやっていれば、2~3倍の観客を集められたと思われる。
 更に、新聞広告上にチケット販売場所が明記されておらず、数日前までどこでチケットを買うのか分からない状況だった。結局、ショッピングモールの一角の粗末な仮説コーナーで、細々と販売しているのを発見したnaomiさんが、慌ててチケットを購入した。しかも、5,000ルピーという現地人にとっては破格の値段にも関わらず、チケット販売は現金のみ受付。こんな金額を普段から持ち歩いているインド人がどれだけいるのだろうか・・・。また、現金の貯まりまくった仮説コーナーのセキュリティ管理もほぼゼロ。
 こちらには、チケットぴあみたいな企業は皆無なのか・・・。

2.最低レベルの会場施設
 会場となった、インディラ・ガンディー・スタジアムは、世界陸上大会(室内競技)や政府関係の集会などが開催される多目的屋内施設。
 が、施設は相当に古いようで、トイレが少ないことに始まり、窓カーテンが無く暗転出来ない、天井からものを吊るす事が出来ずカメラ・照明は全て地上から、と大規模コンサートには向かない要素ばかり。音響もかなり悪かった。
 加えて、即席アリーナ席は謝恩会のパイプイスみたいなものを使用、アリーナ席の前にドド~ンと陣取る関係者席など、観客を無視した会場作りにも嫌悪感を覚えた。

3.ピントのずれた企画
 これだけの出演者、3時間という豊富な時間にも関わらず、その殆どはシャールク・カーンと観客との無意味な会話に費やされた。観客はその遣り取りを観て笑ったりしていたが、デパートのトークショーを観に5,000ルピーも払ったんじゃないと怒りを覚えた。
 また、メインのダンスもかなりつまらなかった。当たり前だが、全部口パクでおまけに本人が歌ってない場合が殆どのボリウッド、自然と実に臨場感の無い雰囲気になる。凄く見づらい位置からビデオクリップを見ている感じがして、盛り上がれない。
 場繋ぎ的に出てくる歌手たちの殆どが、観客の冷めた目線の集中攻撃を浴びていた。彼らが出てくる度に、会場全体のテンションが下がり、これまた盛り上がれない雰囲気を醸成していた。


 今、インド映画界は、西洋映画の影響を受けた内容のものが次々と出てきている。
 コンサートやショーなどの「生」のイベントにも、西洋や日本のノウハウを取入れて貰い、より良いイベント作りをして欲しいと切に願う。
 我を忘れて盛り上がれるイベントをインドで味わう日は、まだまだ遠そうだ。
by bharat | 2005-12-26 15:28 | デリー市内あれこれ