テロに対する日本企業の対応

 インドに来る前、インドとはテロとは無縁の国だと思っていたが、最近キナ臭い事件がポツポツ発生している。

引き金は昨今の印パ協調路線
 今年の10月8日、パキスタン北部で発生した巨大地震は、記憶に新しいことろだが、インド人にとっては、その被害よりもインドが積極的にパキスタンに援助物資を提供したことが大きなニュースだったようだ。インドではシン政権になってから、急速にパキスタンとの関係改善が進んでおり、今回の支援をイチ早く決定することによって更にアピールが出来たようだ。
 印パの緊張を実感したインド人たちにとっては、今回の積極支援について、「緊張の本格的な終焉」として基本的には賞賛している人が多い。我々インドでこれからビジネスを拡大して行こうと思っている立場からしても、前向きな出来事で大変良いと思う。

 ところが、これが負の副産物を生み出している。
 国境の警備が手薄になったのを良いことに、過激派がインドに流入、あるいはインドに潜んでいた過激派を動かし、テロを誘発している。


早い沈静化を望むばかり・・・
 10月29日のデリー同時多発テロはとてもショッキングだった。爆破場所の1つだったサロジニ・ナガール市場の上空の不自然な真っ黒い雲を見たときの何とも言えない気分はまだ覚えている。
 このときには、日本でも大きくニュース・新聞等で報道されたようで、親族・知人から安否を気遣う連絡が一斉に来た。とても有難かったが、彼らの口調から察するに、また日本のマスコミが右習えで大袈裟に報道したんだろうなぁという、恐ろしいほどの心配ぶりだった。

 だが、最近は、そんな安否を気遣う連絡は来なくなった。
 別に気遣ってくれということを言いたいのでない。

 ただ、10月29日以降、日本をはじめ世界のメディアがインドでのテロについてあまり報道していないんだなぁと思っただけだ。
 というのも、あれ以降も、小規模のテロやテロと思われる事件がポツポツ起きているからだ。

 10月29日 デリー市内3箇所で同時爆破テロ、死者65人
 11月 2日 カシミール地方スリナガルで爆破テロ、死者9人
 11月14日 カシミール地方で銃撃戦発生、現地人4名死亡、日本人ジャーナリスト負傷
 11月16日 カシミール地方で車爆発、4名死亡

 で、更に12月28日、今度は南のバンガロール(カルナータカ州)で発砲事件が発生。国際学術会議に出席していたインド人研究者1人が死亡、4人が負傷した。犯人は特定されていないが、イスラム系過激派組織による犯行と推測されている。


弱気になるな!日本企業
 正直、日本がデリーの同時爆破テロ以降の事件を大きく取り上げないことについては、ホッとしている。
 ただでさえ、インドへの進出について慎重な日本企業が、ますます慎重になってしまいそうで・・・。

 日常生活で目にするものの多くは、インド国産以外だと欧米のもの、もしくは最近は韓国企業のものが特に目立つ。
 道行く車も現代(Hyundai)の車が多くなってきたように思うし、街の家電屋に並ぶのは概ねLGやサムスン(三星)などで、高級ショッピングモールにでも行かない限り日本製品は見ない。

 TVのCMも、日本企業のCMなんて殆ど見たこと無い(ヒーローホンダやマルチスズキは、インド合弁なので別と解釈して)。HyundaiやLG、サムスンは、バンバン広告を打っているのに。
 街中の看板も同じ状況。

 ・・・見ていて非常に口惜しい。
 早く、言葉(ヒンディー語)を習得して、当社はじめ日本企業をインド人にたくさん広告したいと思う。逆に、日本の中に出来上がってしまったインドの負のイメージを少しでも変えて行きたいなと思う。



 ・・・取り留めない内容になってしまったが、2006年に向けての些細な決意である。
by bharat | 2005-12-29 10:07 | ふと思うこと