インド人化プログラム、50%完了☆
6月25日、研修を半ば修了

 6月25日、2年間のインド語学・文化研修プログラムを1年間修了した。

 他の駐在員が事務所勤めをする中、この1年間インドを放浪し、語学(ヒンディー語)や文化・風土の理解を深めることに専念してきた。

 「なんだアイツ、暇さえあれば旅行行ってるなぁ」などと思う無かれ。
 全ては、未来ある市場インドを知り尽くさんという思いからなのである。

 そこで、今回の良い機会に、その成果を簡単に纏めた。
 僕は、学者でも研究員でも無いので、主観的な視点から論じている点、予め了解の上、読んで貰いたい。

インドの概要

 今更書くまでも無いが念の為。
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e0074199_13173257.jpg名称 : インド(共和国、連邦、連邦共和国など表記様々)
人口 : 10.7億人(世界第2位)
面積 : 328万㎡(世界第7位)
首都 : デリー(ニューデリーは地域名で都市名ではない)
GDP : 6,912億USD(2005年、世界第10位)
言語 : 23の公用語(ヒンディー語をはじめとする22インド諸語+英語)
通貨 : インドルピー(1ルピー=約2.6円)



 因みに、インドに来るまで、インドの人口はおろか、公用語の数、インド通貨と本邦通貨との為替レートなど、全く知らなかった。かろうじて首都デリーを知っていたくらい。

 カレー、ガンジー、ターバン、、、これ以外に具体的なイメージを持っている日本人がどれくらいいるのだろうか。。。
 ビジネス雑誌がこぞってインドを特集している今、我々のインドに対する認識はどれだけ精緻になったろうか。

語学習得に関して
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 これは、インドの言語マップ。
 概ね、北インドではヒンディー語またはこれでカバー出来る地域が多く、南部に行くと全く異なる言語(テルグ・タミルなど)になっている。幸か不幸か、前バジパイ首相が推し進めたヒンディー語推進政策によって、大都市圏では東西南北関係無くヒンディー語が通じることが多い。

 インドにおける言語は、公用語だけでも23語(英語含む)。
 当社の研修プログラムで、派遣国が決まった後、何語を習得すべきか選定しなければならないなんて、前代未聞じゃなかったろうか。
 兎に角、習得言語をヒンディー語に決定し、1年間勉強した。
 月曜日~金曜日、午前/午後2時間ずつが通常ペース。途中、旅行などでペースを守れなかったが、6~7割方こなしたとして、約4時間×180日×60%=648時間やったことになる。他人と比較出来ないので、如何程の成果が上がったかは述べがたいが感じたことは...

a. 日本語と似ている
 同じアジアの言語ゆえか、はたまた偶然か、文法や発音など、日本語と類似した点がいくつも存在する。
 まず、文法。基本形の語順が日本語と一緒。ヒンディー語も、「主語+目的語+述語」。これは、とても親近感が沸く。
 発音については、厳密に言えば難しい発音もあるのだが、日本語の50音でカバー出来ない音は殆ど無い。

 反面、ラテン系言語を母国語とする人々には、かなり手ごわい言語では無かろうか。


b. ボキャブラリーが多すぎ
 色々な語源が存在するヒンディー語。古くはサンスクリットから、ウルドゥー語などアラビア系言語も語源になっている。これらの言葉が融合することなく、今でもヒンディー語の単語として残存しているので、同じ単語でも言い回しが3通りも4通りも存在することがしばしば。
 これは、ゼロから単語を覚える側からすると、とてもキツい。


c. 都市部以外においては必須
 英語があればどうにでもなるなどと思う無かれ。
 デリーなど大都市を少し離れると、すぐに純粋ヒンディー語圏に入る。街中の殆どのヒトがヒンディー語でコミュニケーションを取る。「使いこなす」というレベルで英語を使うヒトはハッキリ言って見かけない・・・みんな片言レベル。
 こんな環境なので、「これいくら?」「××が欲しい」「△△したい」くらいは喋れないと、相当苦労する局面が出てくるだろう。


宗教の捉え方
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オレンジ:ヒンドゥー :ムスリム 水色:キリスト ピンク:スィク :ほか)

 インドにおける宗教分布は、結構複雑だ。

 どの資料を見ても、「80%がヒンドゥー教徒、13~4%がイスラム教徒(ムスリム)、キリスト教徒・スィク教徒が夫々2%ずつ、以下仏教徒、ジャイナ教徒、ゾロアスター教(拝火教)徒など」と記されているが、これはハッキリ言って現在の状況を正確に表した数字じゃない・・・と思う。
 一番直近の国勢調査は2001年に実施されたが、この中で宗教調査も一応行われたようだ。だが、出てきている数字は、1930年代の調査のものと殆ど変化していない。
 下位カースト者、カースト外ヒンドゥー教徒たちの改宗、ヒンドゥー教徒と異教徒混血によるヒンドゥー教徒減少(混血は原則ヒンドゥー教徒になれない)などを考えると、今の数字が70~80年前と同じなんて有り得ない。

 一般的には、東部の山間部族居住地域、ムンバイ・ゴア地区は、英国支配時代に多くのキリスト教改宗が行われ、インド中央のナグプールでは1956年にアンベードカルによる仏教への集団改宗がなされたので、宗教分布が特異だと記されている。
 また、パンジャブ州はスィク教徒の多い地域だと言われている。

 確かにこれらの情報は正しいのだけれど、主観的には現状はもっと進んでいると思う。
 デリーでは多くのスィク教徒を目にするし、多くの仏跡(ブッダガヤーナーランダーラージギルなど)のあるビハール州にはたくさんの仏教徒がいた。また、地域・州を問わず、日本妙法寺の仏閣が建立されており、そこには多くのインド人仏僧が修行に励んでいた。
 仏教に関して言えば、現在インド仏教を率いているのは佐々井秀嶺なる日本人僧である点付け加えておく。彼や彼の取巻き曰く、彼らの改宗推進運動(指定カースト者を、上位カーストに支配されるだけの生活から解放する)によって、今やインドの仏教徒は1億人いると言う・・・まぁ、流石にこの数字は誇大表現に過ぎるけど、資料の記している数百万人っていう少なさでも無いんじゃないかとも思う。

 日常、異なる宗教にも関わらず、仲良くやっているように見える彼らだが、御互いの宗教を軽視する言動が見られることもある。
 僕らとしては、ふぅんと軽く流すより他に無いのだが。
 でも、爆破テロが起きたからといって、犯罪となんら関わりの無い、街のイスラム教徒たちに危害が及んだりといったことは無く、基本的にはインド人は民族問わず平和な民族ではないかと思う。

宗教やカーストに関する過去の日記:
 インドの交通事情
 カースト カースト カースト
 デリー郊外の農村へ
 インド農村行政の実態
 ヴァラナシでのホームステイ
 インドの祝祭日の考え方
 州境の村の実態
 インドのNGO事情
 ラクナウでアンベードカルについて考える


風土・文化の違い
 これは、僕の過去の旅行記を読んでもらうのが一番良いが、東西南北、気候も違えば食文化も違う。基本的には、水の多く出る州(ヒマラヤ山系の水脈のある北部諸州や大きな川を持つ州など)は豊富な農作物生産能力を背景に裕福で、その逆もまた然り。
 また、インドでは州によってある程度自治が認められているので、州ごとの所得も恐ろしく差があり、州民の生活にもおのずと格差が生じている。
 南に行くと教育水準が高く、北東に向かう程低くなる(一部例外あるが)。


氾濫する間違った情報
 最後になるが、これからインドにいらっしゃる駐在員の方々へ。

  「日本に氾濫する前向きなインド情報は信じないで下さい」

 僕が昨年インドに来ることが決まったとき、アマゾンで「インド」で検索してヒットしたビジネス関連書籍は僅かに数冊だった・・・殆どは、バックパッカーの旅行記みたいな本だった。
 それが今や、検索ヒット数300件弱・・・凄い熱狂振りだ。

 いくつか取り寄せて読んだが、ハッキリ言って「ウソばっか」である。

 想像するに、取材記者が日本から飛行機でブ~ンと飛んできて、数日間でデリー・ムンバイバンガロールハイデラバードあたりを周遊して、日本企業誘致に躍起な政府要人・インド企業家とのインタビューを済ませて帰国・・・こんな感じで書かれた記事じゃなかろうか・・・。
 彼らは、湯はおろか水の出ない一般旅館、1日16時間停電する一般住宅街、都市部から数km離れた極貧農村などに行っただろうか。
 勝手に業務終了して乗客を強制的に降ろす市バス、自分の手数料が入る宿・土産屋にしか行かないオートリクシャーに乗っただろうか。

 最近、人口爆発による労働人口増加を記す記事をよく目にする。
 だが、人口が増えるのは、「労働したくても職の無い人たち」だ(農村に行ったときの日記参照)。

 ITシリコンバレーがあるかと思えば、僕らが自宅にインターネット回線(しかもナローバンド)を引き込むのに1ヶ月かかる現状がある。

 バカ売れする自動車の脇には、1回の給油代金>月収の貧民が道端で寝ている。


 ・・・僕は、生来明るい性格だが、この国を見ていると、明るい話題よりも深刻な課題の方がどうしても目だって見える。
 
 我々世界第2位の経済力を持った国の企業の駐在員がインドで出来ることって何なのか・・・あと1年の滞在期間で答えを探し、成果を出したいを思っている。
by bharat | 2006-06-26 10:30 | 自己紹介など