第73回旅行は、新仏教の総本山ナグプール
 デリーから、空路で真南に約1時間半。
 「インドのヘソ」のナグプール(Nagpur、ナーグプルとも)に到着。

ネオ・ブッディズム発祥の地
e0074199_5413362.jpg 空港に降立つと、見えてくる空港名「Dr. Ambedkar International Airport」。
 不可触選民の出でありながら、インド初代法相となり、インド憲法にカースト制度廃止を明記させた不屈の政治家アンベードカルの名を採っている(彼の功績についてはラクナウ旅行記で詳しく書いたので御参照)。
 空港内の内装も、彼の絵や彼が推進した仏教のモチーフが描かれており、インドの他の空港とは一風違った雰囲気を醸し出している。


e0074199_615725.jpg ナグプールは、英国植民地時代の中央州の州都が置かれていた場所。
 今でも、当時の柱が市街地にポツンと立っている。

だが、この都市が今特別なポジションにあるのは、1956年以降だ。
 上述のアンベードカルが、カースト制による身分差別からの解放を目指して、1956年、同志30万人とともにこの地で集団改宗を行ったのだ。
 因みに彼は、その直後、同年12月6日に没した。

 その後、仏教に対する彼独自の解釈は、インドにおける新仏教思想(ネオ・ブッディズム)と位置付けられ、時に昔ながらの仏教から非難を浴びる局面もあったが、現在、インドにおける仏教の復活はアンベートカルによる功績が非常に大きい。

 また、彼の死後、インド仏教の先頭に立っている指導者が、日本人僧であることはあまり知られていない。
 佐々井秀嶺というその僧は、日本仏教団体の仕事でインドに来たのが縁で、以来、低カースト者の救済を目的としてインドで活動を展開。
 インド政府もその活動を高く評価し、1988年には、極めて異例とも言える、時の首相ラジーブ・ガンジーからインド国籍とインド名アーリヤ・ナーガルジュナを与えられた。

e0074199_6383312.jpg ナグプールは、そんなインド仏教の本拠地なのである。
 街中の車・オートリクシャー・自転車などは、みな仏教旗をつけて、仏教一色といった雰囲気だ。



そこかしこで仏教式典が・・・
 今年が、アンベードカル没後50周年、そして佛紀2550年(ブッダ生誕年を元年として、今年が2550年目)にあたるため、10月2日の祝日(ガンディー誕生日)を利用して、様々な仏教式典が開催されていた。
 以下は、そのいくつか。

ディークシャ・ブーミ(Deeksha Bhumi)
 ここは、アンベードカルが集団改宗を行った場所。
 巨大な仏塔(ストゥーパ)が目印の公園だ。

e0074199_6475423.jpg ここの式典がインド中で一番盛大だったと思われる。
 来場者は、一部報道では数百万人とも。
 とにかく、凄い人手・・・なかなか仏塔に近づけない。
e0074199_6495545.jpg 漸く敷地内に入ると、仏塔の脇には、アンベードカルとブッダの像が並んで鎮座している。
e0074199_6512497.jpg 仏塔の中に入ると、様々な写真が展示されており、中央部には仏像が。


龍宮寺(Dragon Palace Temple)
e0074199_5154821.jpg Dragon Palace Templeと聞いて余り要領を得ず、何となく立寄ったが、かなりの盛況。
 本堂の脇には大きな石柱に「妙海山 龍宮寺」・・・あ、それでこの英訳なのね。
e0074199_52344.jpg 本堂には、立派な仏像。


菩薩大寺(Mahavihara)
e0074199_512884.jpge0074199_51474.jpg 道端に、看板で漢字で「菩薩大寺」。
 表のシュールな出来栄えの仏陀立像には、真言宗智山派大本山が寄進したとの掲示が。

ナガロカ(Nagaloka)
e0074199_526095.jpg 敷地内に、公園・大学寮などが建つこの場所には、珍しいイスに座った仏陀坐像とその下にアンベードカルの写真が。


勿論ヒンドゥー寺院もある
 ナグプールに多くの仏教徒がいるとはいえ、やはりマジョリティはヒンドゥー教徒。
 ヒンドゥー寺院もたくさんある。
モティバーグ・スリスカンダ・サマジ(Motibagh Sri Skanda Samaj)
e0074199_5373411.jpge0074199_538660.jpg 白とターコイスグリーンの2色の綺麗な配色の寺院群。
 入口には、南インド特有の建築様式ゴープラム(塔門)、内部には小さな本堂が並び、3階建ての大きな礼拝堂がある。

ラームダーム(Ram Dham)
 ラーム神の名前が付いているが、ヒンドゥー神ほぼ総出演のテーマパーク。

e0074199_6241157.jpg ラーム神の冒険譚「ラーマヤナ」を内壁画や人形で表したトンネル。
e0074199_6244453.jpg 出来栄えは、かなりシュール・・・。


e0074199_6292430.jpg これは、シヴァ神の棲むカイラーサ山を象ったもので、中に入れる。
e0074199_6304434.jpg 中には、インド各地の寺院のシヴァ寺院のリンガ(男根)の模型が展示されている。


e0074199_6335549.jpg これは、ちょっと珍しい像。
 普通のガネーシュ像に見えるが、裏を見ると・・・
e0074199_634458.jpg ヤクシャが彫られている。
 ヤクシャは、インド神話に登場する豊穣を司る大地母神で、元々は山の精霊という位置付けだった。
 日本では、夜叉の名で登場する。



 ・・・冒頭にも記したが、2006年が、アンベードカル没後50周年&佛紀2550年にあたる年ということで、インド仏教の盛上がりを体感することが出来た。
 唯一、日本人仏教指導者の佐々井上人を見ることが出来なかったのが残念だったな。


オススメ度(100%個人主観)

   ★★★★☆ ・・・ インドの新仏教を体感

観光所要時間

   5時間 (祭りが無ければ2~3時間で周れる)
by bharat | 2006-10-02 10:30 | インドぶらり旅