2005年 10月 01日 ( 1 )
第14回旅行は、ヒンドゥーの聖地ヴァラナシ
 インドに来る前から、行きたい行きたいと思っていたヴァラナシ。
 今回、ようやく行く機会が出来た。

 ヒンディー語の個人授業講師の実家がヴァラナシにあり、彼が実家に帰る数日の間に来るなら家に泊めてくれると言うのだ。
 御好意に甘えて、早速電車の切符を手配。

インドの車窓から・・の前にちょっとヴァラナシについて

 何故、僕がヴァラナシに行きたいと思ったか・・・それはこの場所がヒンドゥー教徒にとっての聖地だからだ。
 ヴァラナシは、インドの歴史を語る叙事詩『マハーバーラタ』に記されているカーシー国の都であり、インドの歴史あるいはヒンドゥーの原点の一つである。同市は、紀元前9世紀頃には既に栄えていたと考えられ、その後12世紀までは繁栄し続けた。
 ところが、1192年ムスリム(イスラム)勢力である奴隷王朝のアイバクがヴァラナシを攻撃、以降、同市はたびたびムスリム勢力による破壊を被ることとなる。特に、ムガル帝国の第5代シャー・ジャハーン、第6代アウラングゼーブによる破壊行為で、同市は壊滅状態となった。現在の街並みは、18世紀に入ってから、再建・整備されたものだ。


すわたんたらた~♪

 今回は、特急電車で一路ヴァラナシを目指す。
 直前の座席予約だったんで、一番上のクラス(1st A/C)しか取れなかった。片道約2,400ルピー(≒6000円)はちょっと痛い出費だが致し方無い。
 電車の名前は、スワタンタラター・セナーニー・エクスプレス・・・変な名前。Freedom Fighterという意味らしい。出発時間は、20時40分だったかな。
 思ったより自宅から駅までスムーズに行けたので、30分前くらいに着いてしまった。

e0074199_13565319.jpg 取敢えず、売店で夕食でも買って行こうかな・・・って売店の類が殆ど無い・・・。
 見たことの無いハンバーガー屋が1軒あるだけ。
 仕方なく、この店でチキンバーガー・ポテト・コーラを購入。
 みんな、家から弁当でも持って来てるんだろぉか。



e0074199_13574227.jpg 出発直前にならないと、電車の入線プラット番号がアナウンスされないので、プラットホームに掛かる橋の上でしばし待つ。
 しっかし、凄い人ゴミ・・・しかもみんなモノスゴイ量の荷物を持ってる。・・・こっちの人ってスーツケース手に持たないで、頭に乗せるんだね、結構器用だな。



 出発10分くらい前に、ようやくアナウンスが。

  「スワタンタラター・セナーニー・エクスプレスは、~番ホームに入線します。」

・・・電車の名前が変だった御蔭で、聞き取れた。


彼らの宗教観って・・・

e0074199_13583140.jpg 電車のドア近辺に貼り出された客員名簿を見て、自分の客室番号を確認する。(個人情報保護法なんて完全無視の世界だな・・・)
 客室に入る。
 思ったよりマシというか、値段にしては粗末というべきか・・・。

 客室は最大4名でシェアするのだが、今回は僕を含めて3人だった。1人は英語が堪能なイスラム教徒のインド人の青年と、もう1人は無愛想な御爺さん。

 青年と英語(たまにヒンディー語)で、寝るまでの時間いろいろと話をした。
 インド人が日本人に対して抱く疑問はだいだい同じようで、

  「インドには何しに来たんだ?」
  「お前の信仰する宗教はなんだ?」

は殆どのケースで聞かれる質問だ。今回もやはり聞かれた。

 特に2つ目の質問は、日本人にとってはとても答え難い。
 仏教徒といえば確かに仏教徒なんだが(自分の家の墓は確か浄土真宗だった・・)、イスラム教徒やヒンドゥー教徒の宗教に対する姿勢と比べると余りに浅薄なので、自信を持って言えないのだ。かと言って、初詣や合格祈願・法事などに行ったりするのだから、無宗教という訳でもない。
 だから最近では、

  「自分は、『ソフト・ブッディスト』です」

と言うようにしている。要は、ユルめの信仰心を持った仏教徒というニュアンスである。


 でも、やはりこの宗教を信仰する度合いについては、我々とインド人とでは相当の開きがある気がする。
 敬虔なヒンドゥー教徒である会社同僚は、ダーウィンの進化論を全く信じていないし(人類は神の創造物だと固く信じている)、上述のイスラム教青年もこんなことを言っていた。

 青年 「ハリケーン・キャサリンが何故
      ニューオーリンズを直撃したか分かるかい?」

 僕  「気圧の関係でしょ。」

 青年 「違うよ。あの地域はゲイがたくさん住んでいたからだよ。」

 僕  「???」

 青年 「神を冒涜する行為をした奴らに天罰が下ったんだよ。」

 このコメントの他は、実に理路整然としているのに、宗教に関することとなるとどうやら理屈抜きらしい・・・この辺については、もっと理解を深める必要がありそぉだ。


e0074199_1359442.jpg ・・・そんなこんなで夜も更けて、就寝。
 ふと気づくと、ヴァラナシに着いていたとさ。



うるさい・きたない・くさい

 早速、先生と連絡を取って行き先を聞き出し、駅からサイクルリクシャーで移動。
 ・・・しかし、なんちゅう街だここは。

e0074199_1452371.jpg まず、道が狭い上に、交通量がメチャクチャ多い。
 で、いつも通りみんながオーバーテイクを掛けるから、道路上は無法状態・・・。

e0074199_1405938.jpg その後、先生の家に着いて、屋上から街並みを下ろして納得
 ・・・家が鮨詰め状態で建っている。
 道理で狭苦しい訳だ。


 おまけに、ゴミがやたら散乱してる。
 牛のウ○コは当たり前、食い物のガラやら生ゴミやらがそこら中に散らかってる。

 ・・・エラいとこに来ちゃったな・・・と、このときは思ってた。


清廉・静寂

 日中はサールナート(Sarnath)へ。

 18時頃、先生から夜のプージャー(神への御祈りを行うヒンドゥーの儀式)がガンジス川の畔の沐浴場(ガート:Ghat)で行われるから見てきたらどうかと薦められた。
 早速、てくてくガートの方へ。

e0074199_1463632.jpg 外国人と見ると、ウサン臭い現地人たちが、やたらと勧誘してくる。
 なかには、ロコツに麻薬を薦めてくる輩もいて、ちょっと危険な雰囲気。
 彼らを追い払って、川べりに着くと、祭壇らしき台がいくつか置かれていた。


e0074199_147523.jpg 18時半を回ると、どこからともなくゾロゾロと人が集まってくる・・・。
e0074199_1472356.jpg やがて、祭壇に神官らしき人たちがスタンバりだす。



e0074199_1492816.jpg 儀式スタート。
 民俗的な音楽に合せて、経文のような歌詞を大声で読み上げていく。
 神官は火の灯った燭台や孔雀の羽で作った扇を頭上にかざしたりして祈祷を行う。
e0074199_1494985.jpg 周りの群集も一斉に手を上げて、何か叫んでいる。


 儀式散会後、みんながとても満ち足りた表情で帰路に着く姿が、妙に印象的だったなぁ。


・・・就寝・・・


したのも束の間、朝4時に部屋のドアを叩く音が。

   「ガンジス川の朝日を拝みに行こう!」

と先生。

 要領を得ないまま強制連行され、真っ暗な街並みを川に進む・・・ウ○コ踏んでないだろぉな・・・。

e0074199_14105474.jpg 川に着くと驚いたことに、早くも沐浴をする人がチラホラ。そのすぐ横では、おばちゃんが洗剤で洗濯してる・・・何でもアリなんだな・・・。


 先生が、ふと何かを指差した。
 ・・・ん?長いズタ袋が浮いている。

   「人間の死体です」

と先生。
 ほほぉ・・・ウワサには聞いていたが、本当に流れてるのか。

 よ~く観察していると、川中央の早い流れは上流から下流に向かっているのだが、ガート付近では岸に反射して流れが反対向きになっている。
 死体は、この対流に乗って何周かガート付近をしたあと、本流に入って川下へ消えていった・・・。



 先生の手配した船に乗って、上流へゆっくり漕ぎながら、対岸へ渡ることに。

 しばらくすると、朝日が昇ってきた・・・
 船上の静寂の中で迎える御来光は、なんとも格別。
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 ふとガートの方に目をやると、既にたくさんの人たちでゴッタ返していた。
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 対岸の浅瀬に着いて、いよいよ聖地での沐浴。
 パンツ一丁で、川に入る。
 水は・・・全く汚い感じはしない。
 底面の粘土質の土が足にまとわりつくが、ヘドロではない。

 早速、先生と一緒に、朝の御祈り。
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 で、朝稽古(?)。
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 先生の家に帰って、朝ごはん。
 これでやっと8時・・・なんと健康的な朝なんだ。

 街並みはいつも通り汚いんだが、なんだかとても清廉な落着いた気持ちになった。


一応、観光も

e0074199_14164258.jpg このあと、オートシクシャーで街の観光スポットを周遊した。
 道中、乗合でも無いのに、自分の横やら運転手の横やらに入替り立代り人が乗ってきた・・・なんなんでしょうか?



黄金寺院
 正式名称は、ヴィシュワナート寺院(Vishwanath Mandir)。
 中央の塔に金箔が塗布されているので、黄金寺院の通称で呼ばれている。
 ガイドブックに、「ヒンドゥー教徒以外は中に入れない」と書いてあったが、ドサクサに紛れて入れてしまった。
 中は、敬虔なヒンドゥー教徒たちでゴッタ返しており、ギュウギュウ詰めの中、本堂で手を合せて退散。

ドゥルガー寺院
e0074199_14175918.jpg ドゥルガー(Durga)は、シヴァ神の奥さんパールヴァティのことで、怒っている状態のことを言うらしい。
 西ベンガル地方の女神信仰と強い繋がりを持っており、同地方で特にこのドゥルガーやカーリー(これもパールヴァティが怒った状態のこと)が熱烈な信仰対象になっている。
 ドゥルガー・プージャーという祭りでは、彼女の怒りを鎮める為に、動物の生贄を御供えする習慣がある。

トゥルシー・マーナス寺院
e0074199_14204545.jpg 1964年に建てられた新しいヒンドゥー寺院で、ドゥルガー寺院のすぐそばにある。
 中には、叙事詩『ラーマーヤナ』に記されたシーンの絵がたくさん飾られている。


新ヴィシュワナート寺院
e0074199_14212611.jpg ベナレス・ヒンドゥー大学(BHU)キャンパス内にある、新しいヒンドゥー寺院。
 中に入るには靴を脱がねばならないが、旧ヴィシュワナート寺院と違い、ヒンドゥー教徒以外でも気軽に中を見ることが出来る。
 僕が行ったときは、2階で盛大な儀式が行われていた。


ベナレス・ヒンドゥー大学(BHU)
e0074199_14225511.jpg 市街地とは打って変わり、落着いた感じの綺麗なキャンパス。
 校舎も欧風建築で、とても清潔感がある。
 キャンパス内は、緑が多くて、勉学に集中するにはとても良い雰囲気に思える。



美味!B級グルメ
 僕は、日本でもラーメンやらタコ焼きたら、いわゆるB級グルメに目が無いのだが、ここインドでも暇さえあれば、この手の食べ物を物色している。
 ヴァラナシで、美味いものを発見した。

ゴルガッパ
e0074199_14234955.jpg 膨れた揚げ煎に穴を開けて、そこにマサラ汁を流し込む。
 タコ煎のような食感でとても美味い。
 6個で4ルピー(約10円)。


テキ
e0074199_14241852.jpg コロッケ。
 今回はジャガイモコロッケだった。
 上にマサラやらヨーグルトやらをかけて食う。
 1個10ルピー(約25円)。



駅弁を食いつつ、帰路に着く
e0074199_14252613.jpg 夕方、帰りの電車に乗り込む。
 今度の電車は、シヴガンガー・エクスプレス。シヴァ神とガンジスの名を採った列車名だ。
 中の設備は行きの電車より遥かに綺麗。
 今度も3名で客室をシェア。


e0074199_14255123.jpg コーヒー(5ルピー:約13円)と鳥カラ弁当(160ルピー:約400円)で空腹を満たして、就寝・・・。
 明朝、無事デリーに到着した。



 着いた直後の印象がとてもキツかったが、帰るときにはとても居心地の良さを感じていた。
 不思議な街だなぁ。
 また、機会があれば、もうちょっと長い間(数週間)留まっていたい街だと思った。

   (このときは、その後ヴァラナシに長期ホームステイを含めて数回再来するとは思いも因らなかった・・・)
   (ホームステイのときの様子はコチラを御参照)



オススメ度(100%個人主観)

   ★★★★★ ・・・ 多くのガイジンがイメージする「インド」がここに

所要観光時間

   正味2~3時間 (但し、夜のプージャーと早朝の御来光は必見)
by bharat | 2005-10-01 03:33 | インドぶらり旅