2006年 02月 01日 ( 1 )
必殺! ソファ職人!!

 先日、何回掃除しても綺麗にならないソファを、思い切ってリフォームした。
 これが、実に見事というか、独特というか・・・。
 その作業風景をレポート。

日本には無い長尺ソファ

 今の家に住み始めて間もなく、会社の倉庫に眠っていたソファを家に持ってきた。
 広い倉庫にあったときは、特に気付かなかったんだが、家に運んでもらって驚いた。

e0074199_5184860.jpg ・・・日本ではまず見ない、4シーターなのだ。
 長さはゆうに2メートルを越えており、とにかく取り回しが大変。

 まず家への搬入が一大事だった。
 僕の家は、2nd floor(日本で言う3階)なのだが、建物が古いせいか、階段が狭い。ズン胴のソファを、螺旋のような階段で3階まで引き上げるのは相当苦労した。今でも、階段周囲の壁には無数のこすり傷が付いている。


 で、暫くはこのソファを使っていたのだが、どうも中にたまった埃がすごくて、不快指数が下がらないので、当社総務に事情を相談したところ、「リフォームしてはどうですか?」と言われた。
 日本で家具のリフォームというと、僕の世代ではピンと来ないのだが、こちらインドでは家具のリフォームはごく当たり前なのだと言う。手順は次の通り。

①まず、家具屋(ソファ生地屋)で生地を選ぶ。

②店員に家に来てもらい、寸法を計測して貰って、見積を作成して貰う。
  この見積で、大雑把な金額・必要生地量が分かる。

③出張リフォーム部隊の来訪日時を決定する。
 丸1日必要。


e0074199_6591299.jpg とある晴れた日の11時、出張ソファ職人ラムジ氏とその一味たちがやってきた。写真右端のラムジ氏・・・年の頃は30歳中盤くらい、妻子持ち、趣味はクリケット観戦といったところか。部下の2人は若く、まだ駆け出しみたいな風貌。

e0074199_414965.jpgラムジ氏を玄関に招きいれ、靴を脱いでもらう。
 ラムジ氏の足からは、くさやとドリアンをブレンドしたようなかほりが全開だったが、笑顔で話しかけてきたので、こちらも精一杯の笑顔で応じる・・・しかし、すごいかほりだ。

e0074199_4172420.jpg 作業には膨大な場所を必要とするらしく、居間のテレビ以外の殆ど物は矯正撤去を命じられた。空いた床に職人道具をばら撒いてから、作業開始。時計は12時10分前を指していた。


 まずは、本体部分の表面をはがしていく。
 丁寧に、かつ大胆に。引っこ抜いたクギは、そこらじゅうに飛び跳ねていくが、御構い無しだ。Lの字、Uの字になったクギが、とめどなく床に散乱していく。
 作業が波に乗ってきたな~と思っていたら、ラムジ氏が突然召集をかけて、3人で二言三言。
 で、笑顔で俺に向かって、

   「サー、俺たち昼メシ行って来るさ~♪」

 え゛・・・まだ作業始めて1時間も経ってないけど。
 まぁ、今日中にちゃんと終わるなら、自分たちのペースで進めていいけど・・・早めの昼メシ食ってから午後来てくれた方が・・・まぁ深く考えるのは止そう。

e0074199_5292367.jpg 御手伝いさんが、裸足で床のクギを掃除し始めた・・・危ない思いをさせてごめんよ。でも、悪いのは僕ぢゃなくて、ラムジとその一味なんだよ。
 ふと思い出したが、こちらの人たちは、思いも寄らぬ軽装で色んな作業を行う。まず、素手で揚物。グツグツの油の鍋から素手で揚物をひょうひょい取出すのだ・・・Mr.マリックより遥かにハンドパワーである。道路の舗装工事もビックリした。アツアツのアスファルトの上を15ルピーのゴム草履を履いたおじちゃんがならしていく。ならしているそばから、草履がガムみたいにネチャ~っと伸びていた・・・。

e0074199_530821.jpg さて、御手伝いさんのクギ掃除も早々に終わり、僕ら2人が部屋に佇むこと約1時間半。
 満腹の3匹が笑顔で帰ってきた。
 作業再開。


e0074199_5302211.jpg クッションの表面をはがしたあと、本体部分に張り付ける新しい布(黒い合皮)をチョキチョキ切って、張っていく。作業はチンタラやるくせに、手先は実に器用で丁寧。なかなかやるな~、ラムジ部下その1~。


 ちょっと、別の部屋で勉強などしていると、居間の方からズズズっと飲み物をすする音が聞こえてきた・・・。

   ???

 何だろうと思って、居間に戻ると、3人が茶をしばいていた。

   「ラムジ氏、その茶はどこから?」

   「サー、下のヒトに頼んで入れてもらったんでさぁ」

 ふぅん、下のヒト・・・・ってコラァ!
 うちの大家ぢゃないか!
 勝手に頼むなよ・・・・このオッサン。

 しかし・・・昼食後、作業再開から1時間でまた休憩かよ。
 ラムジよ、いつになったら職人芸を披露してくれるんだ?


e0074199_613249.jpg 出番は意外に早く訪れた。
 クッションのウレタンを新しいものに取り替えた後、いよいよソファ職人ラムジ氏が出てきた。
 年季の入ったミシンを器用に操りながら、新しい布でそのクッションにぴったり合うカバーを裁断・縫製していく。この間、彼は物差し・巻尺の類を殆ど使わない・・・自分の手を定規代わりにして、器用に採寸していた。カバーの出来は、恐ろしい程精緻で、ピンと張った状態でクッションを覆っていく。
e0074199_6174141.jpg 全てのクッションに新しいカバーを被せると、本体部分の最終仕上げに入る。Gパン用の裁縫針みたいなのを駆使して、隅々を縫い合わせていく。


 午後8時・・・ついに新生ソファが完成。e0074199_6185535.jpge0074199_619980.jpg




 素晴らしい出来栄えだ☆
 個人的にはかなり満足。


 ここに、総工費数千ルピー、製作時間8時間(うち休憩時間2時間半)の一大スペクタクルが終わったのだった。
by bharat | 2006-02-01 10:11 | ふと思うこと