2006年 02月 21日 ( 1 )
第40回旅行は、オリッサの玄関口 ブバネシュワル
 今回から第46回までは、オリッサ(Orissa)州。
 州都であり、空の玄関口であるブバネシュワル(Bhubaneswar)から。

オリッサ州について
 オリッサ州は、かつてカリンガ(Kalinga)王国が栄えた地域だ。
 あまりこの王国については、記録が残っていないらしいのだが、今のインド東部~インドネシアに至る海域を支配する一大国家であったようだ。皮肉にも、この王国が大きく歴史に登場するのは、紀元前260年にマウリヤ朝のアショーカ王が征服したときだ。
 アショーカ王が仏教に改宗したことから、以降、同地域は仏教が広く民衆に支持されるようになった。その後、紀元前1世紀頃からは、ジャイナ教が広まり、ついで7世紀頃からはときのケーサーリー王朝によってヒンドゥー教が広まった。ガンガ王朝(10世紀頃)になってヒンドゥー教は大きく栄え、この隆盛はムガル帝国がオリッサに侵攻する16世紀まで続いた。

 もっとも、「かつて」文化的に栄えたと言っただけで、現在も多いに栄えている訳ではない。
 デリーやムンバイの人々は、ときとしてビハール州やオリッサ州を後進的な州の代名詞のように言う。
 この行為自体は決して褒められたものではないが、一方で事実でもある。
 オリッサ州のGDPは他州に比べると低いし、山間部族が州内人口の4分の1を占めることから、カースト差別による虐げや教育水準の低さなどは確かに存在する。

 この現象の大きな要因は、州の産業構造にあるように思える。
 主要産業は、州内の豊富な鉱脈を活かし重工業では鉄鉱業が盛ん。ダイヤやトパーズなどの宝石も産出する。だが、これらの恩恵を享受するのは一部の富裕層もしくは外資だけで、その多くはインドの都市部あるいは最寄のパラディープ(Paradip)港から海外に輸出される。
 地元民は、安い賃金で鉱山で働いたり、儲けの少ない軽工業(金銀細工・テキスタイル)で生計を立てている。


ブバネシュワル・カタックについて
 オリッサ州都ブバネシュワルとこれに隣接する都市カタックは、元々双子都市というべきか、極めて似た2つの都市構造をしていた。その後、双方の都市が飽和状態(双方とも100万人弱の人口規模)になり、その周辺に都市機能が拡大していった。

 カタックは、その水に恵まれた地域特性(南北を大きな川・東をベンガル湾に接している)が逆に災いし、大規模な堤防工事を施さねば水害を被る危険性が高いという調査結果が出たことにより、州都は双子都市のもう片方のブバネシュワルに移された(1948年)。

 以降、ブバネシュワルはオリッサの州都となった。



ヒンドゥー寺院群
e0074199_5165169.jpg ブバネシュワルという都市名は、「ブワン(三界)」と「イーシュワル(神)」の複合語、つまりシヴァ神を意味している。ここには、ヒンドゥー教が大きく栄えた上述の7~16世紀に、たくさんのヒンドゥー寺院が今も残っている。その数は、残っているものだけでも、数百と言われている。
 人口は、100万人に欠ける中規模の都市だが、商店街や住宅街の中に残存する寺院を見ると、数百年前の寺院が今も住民の生活の中に溶け込んでいることを実感出来る。


パワシュワメーシュワル寺院(Parashwameshwar Mandir)
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e0074199_644956.jpg 650年頃に建てられた寺院で、シヴァ神を祀っている。
 寺院の外にもシヴァリンガ(男根)が祀ってあるし、本堂にもコブラが巻き付いているリンガが。
e0074199_6132860.jpg 寺院の外側の彫刻は、1,300年経過しているとは思えない位、良く残っている。
 ヒンドゥー神の彫刻だけでなく、当時の生活も描かれている。
 これは、王族の権力の象徴だった象の行進。
e0074199_6255435.jpg これは、ヒンドゥー神の彫刻なのだが、しょっと珍しい。
 全員女性(女神)なのだ。
 一番手前のガネーシュ女神は、かなり滑稽な感じだが・・・。

ムクテーシュワル寺院(Mukteshwar Mandir)
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e0074199_6362669.jpge0074199_6371987.jpge0074199_6381315.jpg
e0074199_6393418.jpg この寺院は、10世紀頃の建立。
 小ぶりだが、全体構造と彫刻が特徴的。
 まず、寺院の入口に、立派な門がある。これはトラナ(塔門)という、インドの仏教建築様式の影響を反映したもの。また、寺院壁面の深い彫刻は、仏教やジャイナ教の影響を受けている。
e0074199_639442.jpg 裏手の貯水池から通じる給水口には、厳重に鍵がかけられていて、年に1回の祭りのときにしか解放されず、しかも高額の御布施を投じて買わなければならないのだという。

シッデシュワル寺院(Siddheshwar Mandir)
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e0074199_148382.jpge0074199_1485280.jpg 10~12世紀頃の建立で、ふっくらとしたオレンジ色のガネーシャ像が特徴的。

ケダル・ゴウリ寺院(Kedar Gouri Mandir)
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e0074199_1412164.jpg シヴァ神を祀ったこの寺院には、異教徒は入ることが出来ない。

ヴァイタール寺院(Vaital Mandir)
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e0074199_14133413.jpg 8世紀に建てられたこの寺院では、ヒンドゥー教の中の、タントリズム(性交を通じて神との一体化を実現しようとする最古の信仰様式)が強調されている。
 3人のタントリ神を祀っているので、屋根に3つの頭頂部がある。
e0074199_14135385.jpg カテゴリー的には、カジュラホの寺院群と同じということか。

リンガラージ寺院(Lingaraj Mandir)
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e0074199_14412343.jpg 11世紀の建立。
 リンガの名が示す通り、シヴァ神を祀っている。
 無数の寺院が敷地内にコンプレックスを形成しており、興味深い構造だが
残念ながら異教徒は外からしか見ることが出来ない(ソニア・ガンジーも泣く泣く外から拝んだという)。
e0074199_14164250.jpg 2月のシヴラトリ祭、4月の山車祭り、6月の結婚祭では、辺り一帯が多いに盛上がる。
 本堂のリンガは2つに割れているが、これは13~14世紀のイスラム勢力によるヒンドゥー教弾圧によるもの。

マナンタバシュデーブ寺院
e0074199_14145981.jpg 後述するビンドゥ・サーガル(人造湖)沿いにある寺院。
 ヴィシュヌ神を祀っている。
 ヒンドゥー教徒以外、入ることが出来ない。

ラージャラーニ寺院(Rajarani Mandir)
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e0074199_14201213.jpg 11世紀建立。
 痛みが激しかったが、1905年に大規模な修復工事がなされた。
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パスカレシュワル寺院(Paskareshwar Mandir)
e0074199_14214416.jpg 11世紀建立。
 パスカレは、太陽神を意味するが、本堂には、シヴァリンガを祀っている。

メゲシュワル寺院(Megeshwar Mandir)
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e0074199_14234978.jpg この寺院も11世紀の建立。
 ここの最高司祭は、女性。
 15歳のときより、60年間この寺を守っているのだという。

ブランメシュワル寺院(Brahmeshwar Mandir)
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e0074199_1427317.jpg 11世紀建立。
 パンチャヤタナという、5つの正方形状の建物が、ちょうどサイコロの5の面のような構図で建っている建築形式。
 シヴァ神を祀っている(司祭がシヴァ神の三叉戟を持ってきて見せてくれた)。


その他
ビンドゥ・サーガル(Bindu Sagar)
e0074199_14285537.jpg 人造湖。
 ヒンドゥー教徒たちが沐浴する一方、日々の洗濯などもここを活用しているようだ。

部族博物館(Tribal Museum)
e0074199_1430918.jpg 州立の博物館。
 デリーに住んでいると、Tribalという言葉自体日頃耳にしないが、ここオリッサ州では今も山岳部族などが多数いる。
 州内には、62の部族がおり(なんとアフリカ系までいるという)、これはインド各州の中で3番目に多い数字だと言う。
e0074199_14415246.jpg 部族カーストに属する者は、ここブバネシュワル市内だけでも、約800,000人もいるという。

オリッサ近代美術画廊(Orissa Modern Art Gallery)
e0074199_14304720.jpg 近代美術だが、ヒンドゥー教をモチーフにした絵画・彫刻もあり、そのデザインの奇抜性は見ていて楽しい。
 因みに、とても小さな画廊なので、ものの5分くらいで見終わってしまう。
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オススメ度(100%個人主観)

   ★★★★☆ ・・・ 沢山のヒンドゥー寺院を落着いて観光出来る

観光所要時間

   約6~8時間
by bharat | 2006-02-21 10:30 | インドぶらり旅