2006年 12月 02日 ( 1 )
指定カースト者による暴動勃発

 去る11月30日、マハラシュトラ州のムンバイ近郊で、暴動が発生した。

事件の概要
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 地元報道では、11月30日にダリット(最下部カーストの人々、以前は不可触賤民と総称されたことも)の者たちが、ムンバイとプネーを結ぶ特急列車「Deccan Queen」に放火。
 この事件で、少なくとも2人が死亡、警察官45人を含む60人が負傷する大惨事となった。

 放火犯の動機は・・・
 放火事件より遡る事3日の11月27日、マハラシュトラ州プネーに程近いカーンプールというところで、ダリットカーストの少年が投石されて死亡した。その上、村にあった下位カースト者の生きる希望ともいえるアンベードカル(下位カーストの出ながら、インドの初代法務大臣になった。詳細はラクナウ旅行記で書いたので御参照)の像の首を切落とすという悪質ぶり。
 これに怒ったダリットカーストの人々が、列車に火を放ったというわけだ。

 その後、この事件がTVや新聞で取上げるや否や、インド各地で同様の暴動が勃発。
 車やバスがボコボコに破壊されるなど、被害が大規模化。

 マハラシュトラ州首相が外遊の予定をキャンセルし、事態収拾すべくインドに緊急帰国する異常事態となった。


事件から浮かび上がってくるもの

 この事件が大規模化してしまった背景を知る上で、意味深いコメントがある。
 ダリットの人権運動家の1人が、「ダリットカースト者は、カーンプールでの事件1つに怒って暴動を起こしたのでは無い。バンダラ村一家惨殺事件での政府の対応の酷さが直接の原因だ。」とコメントしたのだ。

 要するに、未だ頻発する理由無き下位カースト者への差別・弾圧に対して、しかるべき対応をしない政府に対する怒りが、暴動を起こしたというのだ。
 ・・・我々の理解を超えた根深さがここに垣間見える。

 また、下位カースト者に対する生活保障の遅れも、彼らの怒りや不満の温床になっていると言える。
 新聞の調査結果によると、教育の提供はここ最近だいぶ下位カースト者にも普及してきたようなのだが、生活基盤の向上はなされず、「学校に行かせてもらったは良いが、ちっとも生活は良くならねぇぢゃねぇか!」ということらしい。

(TIMES OF INDIAより)
1995年から2003年にかけての改善%
          ダリット   上位カースト
<教育面>
初頭教育     14       14
中等教育     60       45
高等教育    106       42

<生活面>
電気        44       55
飲料水       48       70
下水        23       42
住居        42       57

 確かに、教育に関しては、私も実感する局面があった。
 以前、インドの大学に言っていたときに、成績発表がカースト別だった・・・これは、下位カースト者には一定の優遇措置が取られるためのもの(詳細こちら)。
 また、十分とは言えないものの、村にも学校があり、金銭負担力の無い人も授業を受けられる受皿はある(詳細はこちら)。

だが、生活基盤となると、かなり劣悪な生活環境で暮らしている下位カースト者が多い印象を受ける。下位カースト者のみが居住するアラハバードの村に行ったことがあったが、悲惨な状況だったのを記憶している。



 北米・中南米では、スポーツなどで財をなす所謂「アメリカン・ドリーム」というのがある。
 が、ここインドでは、そんなに色々なスポーツがある訳でも無いし、全員が全員ボリウッド映画界に入れる訳ではない・・・。
 長い宗教史の中で、当然の如く虐げられてきた人々が、瞬時に這い上がれる方法というのは、ここインドには無いということか。
by bharat | 2006-12-02 10:30 | ふと思うこと