第63回旅行は、藩王国の都マイソール
バンガロールのバスターミナルの定期バス(1時間に1本、料金はRs110くらいだったかな)に乗って約2時間半、南西140kmほど行ったところに、マイソールがある。
人口80万人前後の中規模の都市だが、見どころは多い。 マイソールの歴史 バンガロールのくだりでも触れた通り、この一帯は、マイソール王国が治めていた。 マイソールの呼び名自体は、水牛の頭をもった悪魔マヒシャースラに由来し、それをチャームンディー女神が退治したという神話がある。この女神を祀った寺院には今も多くの参拝者が訪れている(詳細後述)。 16世紀あたりまでは、マイソールは地方豪族の中心都市として栄え、その後ウォデヤール家 が取って代ると、1610年にその都はシュリランガパトナムに移された。その後、支配者がハイダル・アリー、ティプー・スルタン親子に代わってもマイソールが王都になることは無かった。 現在の街並みの姿になったのは、第4次マイソール戦争(1799年)が終結した後、英国がここを王都と定めてからだ。英国風建築の初期のものは、この時期に建てられたものだ。 その後1831年の農民大反乱を理由として、マイソールは一時その統治権を藩王から英国政府に譲った。バンガロールに首都機能が移転したのは、このときだ。その後統治権は1881年に戻され、時の藩王が新たに英国建築をベースにした都市計画を実行、競馬場やその周辺の建築群を建てた。 1930~31年には、英国の著名な建築家E・F・フリッチレイによってラリタ・マハル(後述)が建築され、時の藩王が宮殿として使用した。 行列の出来る女神寺院チャームンデーシュワリー マイソール市街地を離れ、南東方面に行くと、小高い丘が。 雇ったオートリキシャーが、歩いた方が早いくらい速度になりながら、丘の道を登ること20分、頂上に到着。後になって調べてみると、標高1,062mもあるそうで、タクシーで行った方が良かったようだ。 頂上に着くや、目に入ってくるのは、立派なゴープラム形式のヒンドゥー寺院。 チャームンデーシュワリー(Chamundeshvari)寺院と呼ばれるこの寺院は、先ほど書いたチャームンディー女神を祀った寺院で、17世紀に建立、19世紀前半に改築された建物だ。 早い時間だと言うのに、寺院入口からは長蛇の列が。 皆、御参りの為に並んでいた。 リキシャのおっちゃんに、2時間くらい並べば中に入れるよと言われ、入場を断念。 周囲をぐるっと散策した。 巨大ナンディー チャームンデーシュワリー寺院からマイソール市街に戻る道中、丘の中腹あたりからもう一方の道を進むと、眼下に綺麗な緑の平地が見えてくる・・・マイソール競馬場が。 英国植民地だったインドで、競馬場を見ることはそんなに珍しくない。このマイソール競馬場ほど綺麗じゃないが、デリーにも競馬場があり、たまに賑わっていることがある。耳に赤鉛筆を指したおっちゃん達がいないので、馬券を売り出しているかどうかは定かではない。 さらに進むと、バカでかいナンディーが出現。 単一の黒い御影石で出来たこのナンディーは、全長7.5m、全高5mと超巨大。インド全土でも有数のデカさを誇る。因みに、飼い主のシヴァはどこにもいない・・・基本的には放し飼いなのか。 司祭にこのナンディーの興りを聞くと、「ある日突然、地盤の一部が隆起し、ナンディーの形になった」んだそうだ。 ほ、ほぉ~...それは凄いって、そんな訳無いのに。実際は1659年に設置されたものらしい。 藩王の宮殿 英国の支配下、統治権を認められた藩王のための宮殿が、現在も綺麗に残っている。 ラリタ・マハル(Lalitha Mahal) 前述した通り、1930~31年に建てられた藩王の離宮。 現在もホテルとして現役で機能しており、宿泊費は$150~200ととても高い。 アンバー・ヴィラス宮殿(Amba Vilas Palace) 市街地の南東部に位置する城壁に囲まれた宮殿・城郭設備の一部を構成する、巨大な宮殿。 通称マハラジャ宮殿。 1897年、ウォデヤール家によって建設され、一度火事で焼失するが、1912年にイギリス建築家設計により再建築された。 内部へは、靴を脱がねばならず、カメラ撮影も禁止。結構、警備が厳しい。外部からは写真撮影オッケイなのだが、警備員に見られると預けさせられるので、この3枚の写真はコッソリ撮ったもの。 それでも、入口のチケット売場でめざとくカメラを発見された。その場で交渉して、20ルピー払って入れてもらった。 内部には、使用当初の装飾品やインテリアが所狭しと陳列されていて、なかなか充実している。 当日は、物凄い人の入りだったのだが、インド人と僕とでは、ジックリ見たいものが違うみたいだ。おぉ、これは!と思って陳列物を凝視していると、後ろから早く行けとばかりに詰めてくる。。。と、今度はサクサク進みたいところでは、インド人たちが群がって何かを見ていたり。 聖ジョセフ聖堂 聖フィロメナ教会とも。 今も礼拝者が多く出入りする教会。インド人のキリスト教徒が意外に多いことに驚いた。 香油の名産地 ここマイソールは、香油の名産地。 代表格は、サンダルウッド・オイル。サンダルウッドは、日本では白檀(ビャクダン)の名で知られている香木で、インド原産ともジャワ原産とも言われている。落着いた香りを放ち、茶道・香道でも使用される。 香木には他に、沈香(ジンコウ)と呼ばれる沈丁花に菌が生育したものがある。ベトナム、カンボジア、インドネシアで取れ、樹齢や自然条件など諸条件が整わないと取れないという。中でも、ベトナムの一部でしか取れないものは、伽羅(キャラ)と言って、昔から大変珍重された。今でも金より重量単価が高い。 香木に関しては、日本でも歴史的に繋がりが深い。 一番古い記録は、595年の推古天皇治世期に、淡路島に漂着した香木が朝廷に献上されたとされ、この時期に伝説の香木「蘭奢待(ランジャタイ)」が日本に渡来したとされている(右画像)。 また、8世紀中頃に渡来した鑑真は、経典とともに多くの香木(沈香)を持って来た。目的は、精神統一を助ける、今で言うリラクゼーション効果を狙ったものと思われる。 8世紀末からの平安時代には、香は貴族の間のエチケットになる。香を焚いてその薫りを楽しんだことから、「薫物(たきもの)」と呼ばれた。家々で独自の香を練り合わせたり、デートのときの勝負服に薫りを付けたり、ラブレターを香で炙ったりしたことが、源氏物語や枕草子に書かれている。 その後、鎌倉時代・室町時代・安土桃山時代に入って武士が台頭すると、トレンドは薫物から香木をそのまま楽しむことに移っていく。このときの流行は専ら沈香で、特に時の権力者は沈香の王様「蘭奢待(ランジャタイ)」を欲したと言う。足利8代将軍義政(銀閣寺を建てた人ね)、織田信長については、この一部を切り取ったという記録が残されている。 江戸時代になると、香道が確立。 明治天皇も蘭奢待の一部を切取ったという。 さて、話をマイソールの名産品に戻すと。。。 オートリクシャーのおっちゃんに、良い香油屋さんが無いかと尋ねると、何の変哲も無いコーラ屋さんへ。 ところがこの店、奥に進むと、従業員部屋みたいな場所が香油調合に使われており、色々な香油を量り売りしてくれるのだ。筋肉疲労に効くサンダルウッドと、皮膚の荒れに効くというブラックジャスミンの2種を購入。小さな小瓶で、夫々5,000ルピー(約13,000円)くらいした・・・結構高かったが、雰囲気的にはホンモノっぽかったな。 オススメ度(100%個人主観) ★★★☆☆ ・・・御当地物が少ないインドにあって、香油は土産に良い♪
by bharat
| 2006-06-06 10:30
| インドぶらり旅
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2年間のインド生活で、どこまでインド人に近づけるか!?
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